宗教を始めよう
宗教学という学問があるが、世の中に宗教のビジネスモデルだけを純粋に理論付ける学問はあるのだろうか。
一般に宗教学といえば、伝統宗教の解釈であるとか、宗教の地域性による比較、葬儀や祭事に絡めた社会科学的分野などがあると思う。しかし、伝統宗教から新興宗教までの拡大方法を歴史学的ではなく経営学的観点から分析して、起業家にとってのMBAのようなカリキュラムが宗教家向けにあってもよいと思う。
こういうことを考えるのは最近
- 作者: 架神恭介,辰巳一世
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2009/11
- メディア: 新書
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という本を読んだからである。
この本を読んで、宗教とビジネスは極めて似通ったものであると感じた。というか、宗教とビジネスは途中経過は違えど、最終的には人の幸せをゴールとしている。
ビジネス書も高尚なものになればなるほどお金よりも社会的貢献が大事だとか、ビジョンが必要だとかそういう話になる。
さすがに最近は「金稼いで女にモテたいから起業したいです!」っていってる茶髪の男はあまり見なくなったけど、そのかわり「社会にインパクトのあるプロダクトで、世界を変えたいです!」っていってる黒髪の(?)男をよく見る気がする。
まぁその中には本当にそう考えてる人もいるだろうけど、一つ言ってやりたいのは社会にインパクトを与えるなら絶対に宗教のほうが簡単だということ。
以下に新興宗教が新規事業より楽で強力だと考える理由を挙げたい。
1. 法人税がかからない
宗教は営利活動ではない。活動全体が公益性があるものと考えられるため、賛否両論あるが税金が優遇されている。これは組織活動を行う上で有利である。
2. 競合があまりいない
いまの新規事業ほど競合はいない。グルメな人が集まるサービスで日本だけでもたくさんあるが、グルメな人専用の宗教はいまのところないと思う。
3. 囲い込みモデルが強力
ビジネスモデルを考える上で既存顧客をどうやって囲い込むかはひとつのキモになるが、宗教はこれが極めて簡単で(1) 出家させて世間と断ち切る (2) 食事などに戒律をもたらし、一般人との交流にハードルを設ける (3) 親が信者だと基本的に子も信者になる。少子高齢化のいま、産めよ増やせよを教義にすればいい。
4. マネタイズが容易
宗教のマネタイズの一つに出版がある。日本の新興宗教の指導者で本を書いてない人がいるだろうか?
5. やりまくれる
多くの日本人が新興宗教に抵抗や不信感を持つ理由の一つに反社会性が挙げられる。確かにオウムを始め、新興宗教は外から見て理解し難い振る舞いをとっている。しかしながらこれにも理由があるそうだ。詳しくは上で紹介した本を読んで欲しいが、まぁ女にもてたい起業家の需要を満たすことができる。
6. 課題発見+解決という、ユーザファーストの黄金モデル
新規事業では課題発見と解決というキーワードがしつこいほど登場する。では、宗教においてユーザの課題とはなんだろうか? それは「このままだと地獄に落ちてしまう」という問題である。まぁ他にも病気をかかえていて直したいという現実的な悩みもあるだろうが、このままではいけないという課題を知らせ、解決策も提示するという実に王道のプロセスで成り立っている。そういう意味で、宗教経営学において宗教成立の本質は マッチポンプ と捉えることもできる。
7. 本当の意味で社会のインパクトも起こせる
極めて反社会的かつ不謹慎な話だが、新興宗教が反社会的重大な事件を起こした例は枚挙に暇がない。これは極論にせよ、数十年〜100年くらい経てば新興宗教の中でも古いものとして扱われる。そこまでになれば政党でもなんでもつくれる。やがて数百年後、国教にしてもらえる可能性もある。
さて、宗教のメリットをたくさんあげたところでデメリットも考えてみよう。一番問題になりそうなのはどうやって集客するかという点だ。しかし、これはIT起業家ならば最大の武器はやはりインターネットだ。ここからはもし私がインターネットで信者を獲得するかという妄想だが・・・
1. 食文化をテーマにしたキュレーションサイトを作る。
私が前回紹介したような炭水化物不要論だとか、食品添加物危険論、あるいは動物食の倫理的問題などを切り口にしてがっつり20~30代女性をターゲティングする。
2. 少し怪しめのキーワードを散りばめたECサイトを作り、定期購入させる
神秘のミネラルが込められた雑穀、のようなやつ
3. セミナーを開く
できれば完全に胡散臭さを出す前に一度テレビか雑誌で食のカリスマ的な感じでとりあげてもらいたい
4. ECサイトでたくさん購入した人に称号を授ける。後のホーリーネームである。
5. ここまでに東大生を囲い込む。やつらは受験勉強しかしてこなかったノータリンだから簡単に騙せる。騙したあとは適当に作った教義を理論的に解釈・整理させる。
6. (2)のステップで作るための野菜や穀物の生産と称して、工場にボランティアとして(4)の人々を集める。そして出家信者にさせる。
7. 以後は6の出家信者が1~5のステップを行い、信者を増やしていく。そろそろ被害者の会もできるだろうから、公安や法律関係の信者も獲得する。
いやー、やっぱ新興宗教って怖いですね〜。鉄板のビジネスモデルですよ... しかし本当に気をつけてほしいことなんですが、すでに似たようなことやってる勢力はあるんですね。。。
これを読んで宗教家志望になった方はゆめゆめ気後れしないよう。私には無理なのでおとなしく起業家で頑張ります。