プログラミングにおける反DEI運動
仕事でプログラミングをする機会がめっきり減って久しいが、WSJ.comの記事をRSSから取得し、タイトルを日本語翻訳したうえでSlackに投稿するbotを作ろうと思い立った。
そこで調べたところ近頃はCursorというAIエディタがナウいらしい。ダウンロードしてプロンプトに日本語でやりたいことを伝えると、ほぼ自分でコードを書くことなくものの数分で①RSSから情報取得 ②取得した記事リストをGemini APIで日本語翻訳 ③結果をSlackに投稿 という簡単なプログラムを作ることができた。
本当に便利な時代になったものだと感心した。プログラミングをやる人ならわかるだろうが、プログラミングは創造的にコードを書いていく作業よりも環境の問題など想定通りに動かない部分をしらみ潰しにパズルのように詰めていく時間のほうが圧倒的にかかる。これはこれで解決したときの達成感があるので苦ではないけど、作りたいものにかけている時間よりも問題を取り除く作業に時間をかけている感覚が強くなる。
その面倒ごとをAIが全部自動で解析して修正してくれることで、人間が本当にいまやりたい作業や作りたいものを伝えればプログラムが動く時代になった。
しかし問題はそのあとだった。
botなので定期実行させたいわけだけど、Lambdaなら10分で動かせると思いきや、これに半日以上かかっている。しかもまだデプロイエラーが解決しない。というか、Pythonのビルドパッケージが250MB以上あるようで、容量制限を超えてしまっている。
いつの間にか docker-compose.ymlとかsamconfig.ymlとかtemplate.yamlとか、環境管理に必要な設定ファイルは積み上がっていく。
そもそも単にRSSから情報を引っ張ってきてAPI投げるだけの軽量プログラムが、なぜ250MBにもなるのだろうか。余裕で標準ライブラリでできるレベルの処理だろう。(google-generativeai とかがどうやら巨大のようだが)
百歩譲ってgemとかpipをとりあえずぶち込んで使いたくなってしまうのは人の性だとして、面倒なサーバー管理がいらない軽量なプログラム実行環境のはずのLambda程度に、Cloud FormationがどうとかSAMがどうとか、果たしてここまで必要なのだろうか。dockerが嬉しいのはわかるとして、さくらVPSあたりでdocker環境作ってcronで動かすほうが圧倒的に楽に思える。
「これはHobby用であって、エンタープライズのしっかりした体制であれば、Lambdaひとつ動かすにも細かい設定とか他のAWSサービスとの連携機能が大事なんだ。そもそも著者の知識が圧倒的に足りていない」という反論がありそうだが、逆にエンタープライズの世界はこれだけの複雑性に過不足なく対処できているのだろうか。それだけの複雑性に対処するコストを上回る消費者目線のメリットはあるのだろうか。
話は変わるがトランプ政権はDEIに対する攻撃を強め、司法やメディア、大学への攻撃を行っている。これを80年代への退行とか、あるいは第2次世界大戦前のヒトラー的な現象と評する声もあるけれど、エリートが作り出した複雑性を破壊して次のパラダイムを作ろうとしている点では進歩的な運動だと思う。つまりアファーマティブ・アクションという概念でキャラクターを黒人に変えてしまったり、再生可能エネルギーのために無駄な負担を強いられることは、エリートの論理では正当化できても一般的な常識感覚からは異なる。トランプ政権はエリート(弁護士、金融家、コンサルタントなど)が作り出した社会的複雑性と過剰性をなくそうとする点では一貫している。
技術の進歩に伴って問題が高度化していくことは変えられない。エリートが複雑性によって対処していったこれまでのアプローチは、AIによって完全に覆され、人間が複雑性に直接対処する機会は減るのだろう。
以上のような葛藤と思索を経て、Lambdaの利用を安心して諦めるのであった。
SDGs準拠版桃太郎
昔々あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいた。おじいさんとおばあさんはお互い異性愛者であったが、同時にカップルのあり方の多様性に理解を持っていたため、婚姻関係にはなく、また子供の出産・養育に対しても前向きではなかった。
(註:おじいさん、おばあさんというカップルの固定観念を子供に抱かせないよう、導入箇所は入念に注意する必要がある。語り手は、カップルのあり方はおじいさん×おばあさんだけでなく、おじいさん×おじいさん、あるいはおばあさん×お姉さんなど、あらゆる組み合わせがあることを子どもたちに示唆しなければいけない)
ある日、おじいさんは山の開拓(柴刈り)を行う行政に抗議するため山に向かった。おばあさんは水産資源保護のため、川のゴミを拾いに行った。
(註:おじいさん、おばあさんは歩いてそれぞれ山、川に向かっている。移動手段が徒歩なのは、時代背景だけでなく炭素排出量がない移動手段をおじいさんとおばあさんが選択していることを子どもたちに示さなければいけない)
おじいさんが山に向かう途中、桃太郎と名乗る7~8歳ぐらいの子供と出会った。桃太郎は公立小学校のカリキュラムに耐えられず、数ヶ月で不登校になったという。なんでもこの地域には、家庭環境の都合から公立学校の勉強についていけない子供が多いらしい。
おじいさんは私塾を開き、彼らに教育機会を提供することにした。
(註:おばあさんが川で桃を拾うことで桃太郎が誕生する従来のエピソードは出産のメタファーであり、子どもたちに無意識に出産・子育てが女性だけの負担であることを刷り込むエピソードとなっている。
また、誰の子供かもわからない状態で届け出もなく勝手に養育する行為は未成年者略取が成立する可能性が近年指摘されており、子供の権利保護の観点から問題がある。
したがってSDGs準拠版では、従来の桃のエピソードを全面改訂し、戸籍・住居がはっきりしている子供に対して通いの教育機会を提供することとなった。
なお、桃太郎のプライバシー保護や差別の防止のため、この地域の詳細な地理情報を開示できないのは言うまでもない)
(以下略)
おそらく統一教会の思い出
というほどのものではないのだが、2010年頃、私が東大の駒場生だったころ、おそらく統一教会関係者と思われる集団とこんなことがあった。
今でもあるか知らないが、東大駒場キャンパスの入り口には「怪しい学生団体に注意 しやわせ研Q会」という立て看板があった。
しやわせ研Q会というのは実在の団体ではなく、教務課が考えたであろうそれらしいカルトサークルの仮称である。
大学生活の予備知識として宗教・マルチ・政治団体は警戒対象と教わっていたが(余談だが自分なら4つ目に「スタートアップ」を挙げたい)、東大生といえど3000人もいれば何人かは何も知らない人間がいるんだろう。
で、怪しいサークルや政治団体が大好きだった私は、そういう彼らがどのような活動をしているのかアンテナを貼っていたつもりだが、意外にも宗教サークルのようなものが直接的に勧誘をかけているところはほとんど見なかった。一番見たのは民青だろうか。民青は直接的にリクルーティングをしていたし、授業前に座席にビラが撒かれていることがよくあった記憶がある。
てっきり大学のキャンパスでは日常的にカルト教団が学生に魔の手を差し伸べているとばかり思っていたから、これは拍子抜けだった。(私が大学で浮いていて大学自体と接点が薄かったというのもあるのだが・・・)
ある日、とうとうその瞬間を目撃した。クリスマス前だっただろうか、駒場の食堂と生協の書店の間ぐらいの道で、男女数人が「賛美歌のアカペラのイベントがある」と声をかけていた。
彼らも彼らなりに学習して「人生の意味や幸福について一緒に考えませんか?」といった勧誘はしない。クリスマス前に仲良く賛美歌を始めとするクリスマスソングを歌う。なかなか巧妙な手だ。
私も知らなければ警戒しなかったかもしれないが、たまたまこの勧誘手法について耳にしたことがあった。で、遠巻きに観察することにした。
まず彼らはわりと大人数できていて、6,7人が2,3のグループに分かれて声をかけていた。男女半々ぐらいで、日本語ネイティブじゃないアジア人がいた記憶がある。ただ駒場にも留学生はいるのでこれは珍しいことではない。
とにかく覚えているのはけっこう年齢層が上で、25前後ぐらいの見た目だった。駒場は1,2年生のキャンパスだから25でもかなり上に見える。
しばらく眺めていたら、自分も何を思ったか、せっかくなので写真でも撮っておくかという気分になった。怪しい団体が怪しい勧誘をしている、その現場を抑えたかったのか、単純に好奇心だったのかは忘れたが、何枚か撮っておいた。
唐突に彼らとは別の方向から、人が近づいてきた。30前後の小柄な男だった。おもむろに「お前なんなんだ。俺らの活動の妨害をするのか。今写真撮っただろう。お前の写真も撮った。写真を消さないならお前の写真を仲間に送っておく。」物騒なことを言ってきた。
ー深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。私は宗教サークルをマークしているつもりが、逆にマークされてしまった。
まぁ公平性のために言うと彼らにも肖像権はあるのだから勝手に写真を撮られたら文句を言う権利はある。しかしここで引き下がると将来の統一教会(ただの推測です)の被害者が増えてしまう。誤った正義感に駆られた私は頑張って反論してみた。
私)あなたたちがやってるのは宗教の勧誘ですよね。宗教の勧誘は駒場キャンパスでは禁止されてますよ。そもそも公認サークルなのですか?
統)別に賛美歌を歌ってみんなでお祈りするだけだ。サークルしか歌ってはいけないのか? 邪魔される筋合いではない。
私)関係者じゃないですよね。迷惑だから駒場から出ていってほしい。
統)なんの権限があってそんなことを言うのか。
押し問答になった。そしてギャラリーが集まってきた。で、すぐに教務課が飛んできた。
教)あなたは誰ですか?
私)私は学生です。(学生証を見せる)
教)あなたは誰ですか?
統)私も学生です(リーダー格が学生証を出す)
予想に反し、彼は学生だった。だいぶ年齢が上で、本郷の学部の院生だったようだが。完全に部外者だと不法侵入のリスクがあるので、学生を必ず混ぜているのかもしれない。
教務課の職員はけっこう戦ってくれたが、とりあえずこの場は解散して集会への勧誘は止めること、学生ではない人間は帰るように言って収まった。彼らとしても目立つメリットはないのでその後は速やかに撤退した。
ここまで言っておいて彼らが統一教会信者だという根拠はとくにないのだが、キリスト教系カルトの特徴があったこと、彼らの顔つき(リーダー格は今思いだすと最近テレビに出ている勅使河原氏に似ていた)からいって、統一教会だったのだろうと確信している。
ちなみに東大駒場キャンパスから統一教会本部までは徒歩10分ほどの距離であり、本部の隣は岸信介元首相の生家というのも一部学生の間では有名であった。
【港区の一人暮らしに!】2020年最新版 買ってよかった6選
巷にあふれるアフィ記事がなんか違うなと思ったので。
1. JMウェストンのローファー
税込11万したし長時間履いてると痛くなる。ただ、靴が良いのでユニクロのデニムとかでもかなりよく見える。
ファッション好きの人にはこのローファーは想像以上に有名で、たまに服屋で「それ180(品番)ですね。180ならこの服がおすすめで〜」みたいな感じで品番で話される。
2. 追い焚き・浴室乾燥機付きの家
一日一回、必ず湯船に浸かるようになった。
3. ダブルベッド
寝具が今まで適当だったのでホテルっぽい典型的なセットを揃えた。
熟睡できるようになった気がする。
4. 家政婦
知人経由で1回1時間5,000円というフィリピン人と契約した。しかも二人でやってくれる。
毎週、風呂・トイレの掃除、ベッドのシーツ交換を含め、全部やってくれる。
逆に自分でゴミを一切片付けなくなってしまった・・
5. SEIKOのAstron
仕事・プライベートで使える年齢相応の時計を求めたところこれになった。20万。
予算的にこれが限界なのと、SEIKOやCASIOみたいな日本製のほうが客先でも着けやすい。
アストロンは我らが小泉進次郎も愛用してるとのこと。
6. The Okura Tokyoのモーニング
虎ノ門のホテルオークラのモーニングメニュー。和洋選べるけど基本は洋食が多い。
4,800円くらいで最高の朝を迎えられる。
これのために土日のどちらか、早起きするようになった。
7. 高い調味料(塩・醤油・胡椒・オリーブオイル等)
一瓶(300mlくらい)2,000円くらいの醤油を買った。味に深みが出た気がする。
それはともかく、調味料は資本市場で最も過小評価されているものの一つだと思う。
多くの人が肉一切れに数千円を平気で出すのに味付けの要である塩や醤油は100円のものを使ってる。
最高級の調味料はそれだけで適当な食品もそこそこ美味しくなるし、長い目でみたら十分リクープできる。キッチンにおいてるだけで料理できる人風にもなる。
アフターコロナ
アフターコロナという言葉が生まれ、リモートワークが今後主流になるのだなどと唱える人もいますが、極めて懐疑的に思ってます。
私自身、リモートワークをやってみて効率的な面が5%くらいあるにせよ、95%はマイナス面が大きい。「会議はzoomでやれば会議室の予約や移動がなくて済む」「slackで会話してるほうがオフィスで無駄話するより非同期に効率的でログが残る」などと言う人もいますが、端的に朝から晩まで人が一箇所に集まって組織的な熱量が生み出されるような、そういう空気感を軽視しすぎだと思う。
飲食店に対して「内装費やBGMを極力なくせば、より食材に金をかけられるから美味しいものをストレートに提供できるんだ」ということを言う人はいないですよね。それと同様で、ビジネスもある種の空気感・連帯感が生まれ、お互いの働き方が可視化されている状態が一番生産性がある。
したがってアフターコロナ的な世界観をでっち上げ、それを標準化させようという試みは興味がないのですが、一方でwithコロナの期間がかなり長期化するのではというのも危惧しています。
東京は1ヶ月の非常事態宣言が発令されましたが、たぶん本当は3ヶ月とか6ヶ月を念頭にしているのではないか。3ヶ月・6ヶ月となると百貨店含む小売業はほぼ壊滅だし、サプライチェーン側も総崩れしていきそう。しかも、コロナは仮に感染拡大が抑えられたとしても、完全にゼロには数年ならないと思われます。
医療体制がない場合の致死率が5%前後、高齢者含む全体の致死率が1%前後(いずれも発表されてる世界・国内の感染者・死亡者から勝手に推計)だとして、1/100で死ぬ感染症がそのへんにあるうちは、まともに外には出歩けないと思う。
withコロナを生き残るための飯の種は、それはそれで必要な気が最近してます。
まぁ、商売的にはそのようなところですが、私自身コロナに感染して死なないように、そろそろ本格的に外出は控えていこうと思います。
2020年の予想
ベンチャー業界では来年のトレンドを予測するのが通例のようなので私も。
あまりネガティブなことは言いたくないのですが、そろそろ景気循環やリセッションを唱える人が増えており、私も同感です。というのは、ベンチャーに流入する資金は増えているが、期待の収益性を生み出していないと思う。要するに金は集まるけど利益が生まれてないと思います。
「うまくいっている風(だが実際は火の車)の会社」が2020年はたくさんあぶり出されるだろうと思います。
ベンチャーに風当たりが強くなると、大手企業で保守的に働くという選択肢が見直されるでしょう。
ただし、新卒一括採用や終身雇用などの旧来の制度は崩壊していく。とすると大企業をマーケットにして、そことコラボレーションして高付加価値を生み出したり、人材の流動化を促進するサービスや会社が伸びると思います。
具体的にはフリーランス的に雇用された頭脳労働者がチーム単位で大企業に潜り込むコンサルティングや受託ビジネスは伸びる。
また、社員のITスキルを伸ばす方面のビジネスや企業のIT分野の品質向上を実施するサービスも本格的に成熟すると思う。本格的というのは、例えばITパスポートをとるだとかプログラミングを覚えるみたいな即効性の薄いものではなく、高度に業務に組み込まれてRFPや要件定義書の作成を支援したり、レビューを実施するサービス(企業)。
そのテスト分野がSHIFTですが、組織体制上どうしても一定の品質保証をしなければならない業務に反復的に組み込まれるビジネスはまだまだブルーオーシャンのように感じます。
あとは人手不足を背景に、肉体労働的なビジネスはいい意味でも悪い意味でも面白いと思う。具体的には先日オフィスの電気工事(OAタップ設置)を実施した際に電気工事業者を探しましたが、ちゃんとした品質保証をしてくれそうなそれなりの会社がなかなか見つからなかった。これらの産業は人が集まれば儲かるし人がいなくなれば黒字倒産するような産業なので、うまく労働者を引き寄せる組織体が作れれば再現性をもって儲かりそうです。ツクルバとかWeWorkみたいなブランディングで、やってることは設計事務所だったり貸しオフィスみたいな。
ブロックチェーンについては、まだまだ先が長いのかなぁという所感で、今のエンタープライズブロックチェーンの文脈はほとんど成立しないのではないかなと感じています。
いずれにしてもしっかり商売をして利益を出す。この重要性を噛みしめる毎日です。
ブラックジャックの最高傑作は・・・
手塚治虫の代表作であり医療漫画の先駆け(?)であるブラックジャックは、
・悪いやつが出てくる→いろいろあってブラックジャックが助ける→金より命のほうが大事
・いいやつが出てくる→ブラックジャックが人情で助ける→ブラックジャックは善良な人間の味方
・奇病が出てくる→BJが奇病に取り組む→奇病の影には(儲け優先の社会・歪んだ人間心理・人類の神秘)があった
みたいな話が多い。
全エピソード粒ぞろいのため意外と人気エピソードはバラけているのだが、個人的に思う最高傑作は単行本第1巻の第1話、「報復」だ。
報復のエピソード
無免許医のブラックジャックはある日医師会に呼ばれ、免許を取らなければ社会的に抹殺すると宣告される。

ブラックジャックは医師法違反で収監される。そこにイタリアの大富豪でありマフィアのドンであるボッケリーニが訪れる。ボッケリーニの孫のピエトロは難病で命の危機にさらされていてた。この難しい手術をできるのはブラックジャックしかいないという。

ゴッドファーザーのボッケリーニは医師会長に頼みブラックジャックに手術してもらうことを懇願するが、医師会長は受け入れない。


ボッケリーニはあの手この手で圧力をかけるが日本において医師会長の権力は凄まじく、やむなく医師会長の意思に下り推薦する医者の手術を受け入れることにした。

ところが手術は失敗し、ピエトロは死ぬ。

ボッケリーニはイタリアに帰国するが、その間際手下に指示して医師会長の息子を銃撃する。

医師会長の息子は危篤状態となり、心臓近くに銃弾が留まっていた。心臓が動き出すと大量出血の恐れがあり、この難しい状況を救えるのはブラックジャックしかいないという。
医師会長は医師免許を準備し、ブラックジャックに手術を依頼する。ブラックジャックは渡された紙を破り捨て、医師会長が泣きつくところで物語は終わる。

考察
この話には「医師会長」「ゴッドファーザー」「ブラックジャック」の3つの立場が出てくる。
①医師会長は顔は悪人だが、あくまで法律と組織を守る立場であり、権力志向があるが金で買収される人間ではない。マフィアの家族だからという理由でピエトロの手術を引き受けないわけではないので、患者を差別している存在ではない。
②ゴッドファーザーはピエトロの身を案じる善良な人間のように書かれているが、単に身内に優しいだけで、報復対象を医師会長本人でなくその息子としているあたりは悪い人間だ。
③そしてブラックジャックは①・②のどちらの立場にも属さないことが暗示されている。もう少し簡単に言えば、①は権力(法律・体制)の象徴、②は暴力の象徴(隣人愛のない偏った愛の象徴)ともみなせる。
このエピソードのメッセージは 権力・暴力の対立の犠牲者は子供であること、権力と暴力では人の命は救えない ということだ。
3つの立場の対比によって主題が明確化され、 権力への批判と人の命の絶対視というBJに一貫する考え方が最もきれいに表現されていると思う。
結局BJは医師会長の息子を助けたか?
このエピソードでは最終的に助けたかどうかが明らかにされていない。(ちなみにアニメ版では助けられているが、蛇足な気もする)
助けなければ医師会長に対するBJの「報復」とも言えるので、話の大筋に合わないでもない。
しかしながら、ここでBJが報復に与してしまうと、BJは第三の立場ではなく②の暴力の立場に属してしまう。やられたらやり返すという立場。そしてその犠牲はあくまで無関係の子供である。BJの立場では、相手と同じやり方・考え方によって第三者を犠牲にする、という行動はとれないのではないか。
また、医師会長は最終コマでは①の立場を捨て親として子を思う人間の気持ちを表現している。これはBJの救済対象と考えられる。
したがって救済すると解釈するのが妥当な気もするが、読む人によって印象は変わるようだ。
無料でこのエピソードは読めるので、ぜひ読んでほしい。
https://books.rakuten.co.jp/instantpreview/e856ad5503003bd6a826c45b1d127770?viewmode=2&scid=wi_tzktokobo_0031_1
